AutoML Tables と Vertex Forecast の違い(利用シーン、アウトプット、料金)

AutoML Tables と Vertex Forecast の違いを解説します。
一言でいうと、AutoML Tables は「回帰/分類」なのに対し、Vertex Forecast は「時系列予測」です。

Google Cloud に限った話ではないのですが、AI 系のサービスってサービス名なのか団体名なのか一般的な概念なのか、わかりにくくないですか。

日進月歩で進化しているのは良いことですが、数年でサービス名がコロッと変わったりして、ググると新旧サービスが渾然一体の情報となって襲いかかってくるので混乱します。
しかも英語→日本語で微妙な翻訳だったりして、無茶苦茶わかりにくい、、、こともある。

なので、その辺もできるだけ整理してみました。

AutoML と Vertex AI の違い

Google Cloud のコンソールを見ると、以下のようにカテゴライズされています。

Vertex AI は以前の AutoML という名称が変更され、機能も大幅にアップグレードされたものです。どちらも AI プラットフォームという位置付けですが、VertexAI になってからより使い勝手がよくなった印象です。

以前は AutoML の下に Tables(回帰/分類)、Natural Language(自然言語処理)、Vision(画像)などのサービスが枝分かれしていました。

現在の Tables は、以前の AutoML Tables のことです。説明にもある通り、Vertex AI でも利用可能です。

Vertex AI はプラットフォームであり、AutoML 系(Tables、Natural Language、Vision など)も含むサービスとなっています。もちろん、AutoML を使わないカスタムモデルの作成やデプロイ、予測なども全部できちゃう、というもの。

では Vertex AI 内でどうやって使うかというと、少しわかりにくいのですが、例えば、データセットを作成するときに「データタイプと目標の選択」を選んで AutoML としてトレーニングすると参照されます。

「画像」を選んだら、裏で AutoML Vision が使われ、表形式(回帰/分類)を選んだら AutoML Tables が使われる、という感じです。

データセット

トレーニング

Tables と Vertex Forecast の違い

Tables は「回帰/分類」、Forecast は「予測」と日本語訳されています。

予測って全部予測じゃん、って思ったのは私だけでしょうか。こんなことなら無理に日本語訳せず、そのまま Forecast って表示してほしい。

公式ドキュメントでも、モデルを使って予測を実行することも「予測」と記載されているので、 Forecast のことなのか動詞としての予測のことなのか、、、めちゃ混乱します(白目

余談ですが、会話でも Tables を「テーブル」とそのまま読むと、これまた AutoML Tables なのか、DB のテーブルのことなのか、急にインテリアの話をされているのか、よくわからなくなります。コミュ障は辛い。

……愚痴はこの辺にして、ここまでの話をまとめたイメージ図を用意してみました。

現時点では Forecast は単品では使えない(Vertex AI 内でのみ利用可能)ので、右端に置いてます。

AutoML Tables と Vertex Forecast アウトプットの違い

AutoML Tables は「回帰/分類」なのに対し、Vertex Forecast は「時系列予測」です。
つまり、AutoML Tables のアウトプットは「点」で出るのに対し、Vertex Forecast のアウトプットは「線」で出るというのが、大きな違いです。

ちなみに、AutoML Tables には時間の概念がないので、曜日などを特徴量として使うことはアリですが、一般的に日付はインプットに含めません。

上記のような場合、AutoML Tables では商品ごとにある気温の時の予測値が出ますが、Forecast では商品ごとに日別で予測値が出ます。

AutoML Tables と Vertex Forecast の料金の違い

やることが「回帰/分類」と「時系列予測」なので料金を比較するというのも変な話なのですが、時系列で日別に予測して週単位に合算したり、回帰で週単位で予測して日別に按分したり、試行錯誤している弊社のような会社もアルカナ〜と思い、参考までに載せておきます。

以下の同じ条件でどれくらい違うのか、試算してみました。

  • 週 1 回トレーニングとバッチ予測実行
  • 1 回のトレーニングに 3 時間
  • 2,000 店舗 × 5 商品 
  • リージョンは Tokyo (asia-northeast1)
  • インスタンスタイプは NI (n1-standard-1 ) 
  • Vertex Explainable AI を使う ※

※特徴量の重みなどグラフで出力する機能

なお、Vertex Forecast は現時点ではバッチ予測のみで、オンライン予測には対応していません。AutoML Tables でもオンライン予測は、維持に結構かかるので気をつけましょう。

AutoML Tables の場合

Vertex Forecastの場合

実はこれで終わりではなく、 Vertex Explainable AI (Vertex Forecastと同レート)の料金が追加でかかるようです。こちらは新しいサービスだからか、料金計算ツールには反映されていませんでした。

<結果>

AutoML Tables:$ 93.92 + $ 152.76  = $ 246.68
= 33,844.25 円/月

Vertex Forecast: $ 152.76 +  $ 152.76  = $ 305.52
= 41,917.04 円/月

Vertex  Forecast の方がちょい割高。

条件によって結構変わるので、参考程度で。
詳しく知りたい方は、公式の料金計算ツールを使ってご自分の条件で試算してみてください。

Google Cloud 料金計算ツール
Vertex AI 料金

まとめ

  • AutoML Tables と Vertex Forecast、どちらもほぼ自動の予測ツール
  • 一般的に、AutoML Tables のインプットに時間軸の列(特徴量)は含めない
  • AutoML Tables は回帰(点の予測)、Vertex Forecast は時系列(線の予測)の予測
  • Vertex Forecast の方が少し割高