少子化は日本だけじゃない!!
日本は少子化が大きな課題とされています。
言うまでもなく少子化の直接的な原因は出生率の低下です。
合計特殊出生率が2.1を切ると人口は減ります。
日本の出生率は、1.3です。
一方、ご存知の方も多いと思いますが、人口減少は日本に限った話ではありません。
図1-1は2021年のG7の数字です。
最も高いフランスでさえ1.83、もっと深刻なのはお隣の韓国、表外ですが、1970年代には4.5以上だったものが急降下して今では0.81。
1.0を切っている世界唯一の国です。
日本は世界192カ国で183位、中国、スペインも日本より下です。
上位10カ国はすべてアフリカで、1位はニジェール、圧巻の6.81です。
図1-2は、世界の2050年までの予測を含んだ、地域別人口増減率の推移です。
世界でも人口の増加は鈍化していて、一説によると人類が絶滅危惧種のレッドリストに載るという話もあります。
少なくとも日本と欧米は、「冗談」では済まないかもしれません。
それでも、アフリカを中心に人口は増え続け、2050年には97億人に上るとされています(国連広報センター)。
日本では過疎化も深刻な問題で、「人口が多く裕福な大都市が地方を支える」という構図。
世界は「人口が減少し続ける先進国が人口の多いアフリカを支える」という構図です。
(人口の多いところが縮小しているところを支える日本の方が、少しだけマシな気もします。)
もし富の生産が人の数によるもののみだとすると、先進国の人口減少が限界を超え、経済的にアフリカを支えきれなくなった時点で、世界は崩壊します。
これを回避するには、「人の数によらない生産性の向上」、つまり「デジタル」は、間違いなく、「人口と富の偏在」に対するひとつの答えであり、世界を救うキーだと思います。
人口が減って何が悪い!
日本の人口の「To-beモデル」は何人なのか?
日本の貧困率は15.7%(世帯年収127万円以下)、6人に1人、約2,000万人が貧困ライン以下とされています(厚生労働省の「2018年 国民生活基礎調査」より)。
乱暴ですが、この貧困率が、生産されている「富」のキャパを人口が超えているからだとすると、今より2,000万人減の1億人を下回るのが、日本の人口の「To-be」なのかもしれません。
分母の”総人口”も減ることを考えるとひょっとすると、貧困率をゼロに近くするためには、8000万人-9,000万人ぐらいが理想?
今のままの出生率だと、2070年の人口予測は8700万人(厚労省)。
人口が減っちゃうこと、少子化対策に「やっき」になるよりも、2070年、8,700万人になるまでは、「経済の維持」に注力し、高齢者が暮らしやすく、無理にではなく「子供を持ちたくなる“社会創り”」をしながら、50年かけて2.1を目指すほうが正解なのかもしれません。
GDP第3位の返り咲きのキーは女性!?
ご存知の通り、日本はドイツに抜かれGDP世界4位になると報告されています。
給与水準と同様、30年間何もしなかった日本が「おいてけぼり」を食った結果です。
日本が4.2兆ドルに対しドイツは4.4兆ドル、結構な勢いで抜かれます。
もちろん円安の影響が大きく、実態は抜かれていないとIMFの偉い人も言ってくれてます。
…が、グラフが示す通り、何もしなければ、実態でも抜かれるのは時間の問題です。
ちなみに日本より人口が少ない国に抜かれるのは初めて。
そのドイツに抜かれちゃうのは何故か?
図2-2は、IT投資の増減とリターンの国際比較です。
2000年以降の投資の増減は日本もドイツも変わらないのに、リターンは大変な差になっています。
ドイツはアメリカなどと比べても、とんでもなく質のいいIT投資をしているIT投資名人、これこそが、日本を抜いて3位に躍り出る原動力なのかもしれません。
前回、「人口が減少している日本で、今と同等以上の経済を維持するためには;
日本人じゃない誰かに助けてもらう
働いていない誰かに助けてもらう
人間以外の何かに助けてもらう
ぐらいしかないかも」と、申し上げました。
ドイツを抜き返すためには、上記のうちの2番目、とりわけIT投資名人のドイツに対抗するためには、「働いていない誰かに助けてもらう」ことがキーになるのではと思います。
この誰かの“代表”は、言うまでもなく「女性」です。
2022年の日本の総人口は約1億23百万人、ドイツが約83百万人、就労人数は、日本が約69百万人、ドイツが約44百万人です。
総労働人口に占める女性の割合は日本が約44%、ドイツは約47%。
この差は、結構、効いてます。
日本のGDPが約4.2兆ドル、ドイツは4.4兆ドルですから、5%あげれば、4.41兆ドルで、ギリで抜き返せます。
これも乱暴ですが、GDPが就労人口とリニアだとすると、5%増やす、つまり日本の就労人口6,900万人の5%、350万人増やせれば抜き返せることになります。
「2020年における女性の非労働力人口2,664万人のうち,198万人が就業を希望している」という総務省「労働力調査(詳細集計)」の報告があります。
ここから、350万人のうち、女性の参画が180万人だと、女性の総就労者数は3,240万人になり、総労働人口に占める女性の割合は47%、ドイツ並みになります。
また、2020年の非正規雇用労働者の割合を見ると,女性54.4%は,男性は22.2%です。
この雇用形態は、貧困の問題とも深くかかわっており、「女性が貧困に陥りやすい背景には,女性は非正規雇用が多いという就業構造の問題」があるとされています(内閣府男女雇用参画局)。
前回も申し上げましたが、生産性が低く、人件費に投資余力がない日本をデジタルによって変えることは、この非正規雇用=貧困という構図を変え、自由な働き方の選択肢という価値あるものに変えることにもなるのかもしれません。
話を戻します。
350万人のうち180万人が女性だとすると残りの170万人を埋めるためには、高齢者や、障碍者の方々の参画も必須です。
そのことも踏まえ、「少しでも働いていただける方々」、「働きたくても働けない方々」に、なんとかして経済活動に参加していただくことが、結果的にドイツを抜き返すことに繋がるのだと思います。
ちなみにドイツはG7の中で唯一、出生率が上昇傾向にある国です。
女性が世界を救う!
図3-1のとおり、日本だけでなく、世界でも、女性の就業率を改善する余地はまだまだあります。
先進国の2050年の人口を、出生率から、例えば15%減だとします。
一方で、世界の人口はアフリカを中心に97億人、20%増しになり「人口の少ない先進国が人口の多いアフリカを支える」構図に拍車がかかります。
この「人口と富の偏在」による世界の崩壊は、デジタルによる生産性の向上に加えて、今よりももっともっと、女性や高齢者、障碍者の方々に経済活動に参加してもらわないと、避けられないのかもしれません。
そう考えると、女性や高齢者、障碍者の方々こそが世界の救世主なことは間違いのない事実だと思います。
次回は「世界は女性とデジタルが救う 3.地球は子孫からの借りもの!」。
まだ、ちゃんと書いてない「日本人以外の誰か」についても触れるつもりです。
お楽しみに?